この入門書は，個々の疾患を扱うのではなく，またいかに鑑別疾患を考えていくかということでもなく，外来診察室の回転椅子に坐った病気のこどもを前にして，どのようにそのこどもの病気を探しあてていくかという技術について，著者のこれまでの経験とポリクリの学生，研修医との議論のなかから生まれてきた事柄について述べたものである。一小児科医の経験にとどまるものではあるけれども，この書を基としてより豊かな内容をもった「小児外来診察学」が生まれればよいと思っている。

〔主な内容〕

第１章：診断へのプロセス　
こどもを診るということ／直感力を養おう／こどもに語りかけよう／母親の話を聴こう／診断へのプロセス／そして…　
　　
第２章：小児科における診察の特殊性　問診の情報源はこどもではなく母親である／こどもは発達途上の人間である／こどものよき友人となれ
るかな／友人をたくさんもとう，全国に，全世界に　

第３章：病歴のとりかた　言葉による情報収集／全身症状／臓器症状　
　　
第４章：理学的所見のとりかた　身体からの情報収集／まず見よ，そして触れよ／上から下まで，見る／胸部および背部／腹部／口腔内所見／神経学的診察／リンパ節腫脹／耳〜鼓膜検査／関節と筋／外陰部／考えをまとめる／母親の心配　
　　
第５章：１カ月健康診断の実際　１カ月健診とは？／母親に対する注意／こどもに対する注意／視診／理学的診察／予防接種の計画／《１カ月健診Q & A》
　　
第６章：母乳と調整乳　母なる乳／母乳栄養の実際／母乳の生理／母乳の生化学／母乳の免疫／母乳栄養の問題点／調整粉乳／乳児用調整粉乳の実際　

第７章：予防接種　予防接種とは／予防接種についての二，三の基礎的な知識／平成の大改革〜予防接種法・結核予防法の改正／予防接種の実際／個々の予防接種について／《「ポリオ」Q & A》《「BCG」Q & A》《「DPT三種混合ワクチン」Q & A》

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