2005 年国際腹膜透析学会・アジア部会に出席したところ，世界の腹膜透析治療のキャスティングボードは中国の若手に握られ，日本の存在は薄いものとなったように漢字，日本オリジナルな腹膜透析療法のコンセプトの確立とその発信性を感じた。本邦における腹膜透析は，若年者が良い適応とされ腹膜透析 vs 血液透析の構図から高齢者の腹膜透析と保存期腎不全の延長として残存腎機能を補完し，連続治療として血液透析を補完する腹膜透析の考え方が出てきた。
　本書は，東北腹膜透析カンファランスメンバーと本邦で腹膜透析を積極的に行なっている若手に原稿を依頼して，症例に即したトラブル顔血のノウハウを満載した問題解決型教科書を基本コンセプトにしたため，キーワード検索と関連キーワード検索を設置し索引機能を充実させた。さらに，各項目には問題解決のストラテジーをまとめ，参考すべき文献資料をつけた。

トピックス　
02．SMAP 手技の概略と適応　
04．導入期の CAPD−HD 併用療法　—他 3 項目

病態—合併症　
06．透析不足で処方変更した症例　
10．難治性腹膜炎症例　
12．外科的治療を行なった EPS 症例　
15．胸腔鏡で治療した横隔膜交通症　—他 8 項目

症候—トラブル　
18．エリスロポエチンが効きづらい症例　
22．カテーテル位置異常の修復法　
25．どうしても減塩ができない症例　
29．微量元素と味覚障害　—他 8 項目

特殊病態　
30．重症弁膜症患者への PD 導入　
32．肝硬変患者への PD 導入　
36．胃瘻患者への PD 導入　—他 4 項目

小児　
37．小児における透析困難症　
38．カンジタ性腹膜炎を併発した症例　—他 2 項目

看護・福祉　
41．症例に適したシステムを選択するには　
42．バッグ交換手技指導の実際　—他 4 項目