本書では，腎臓の尿細管間質と血管関連の疾患について最新の情報が盛り込まれており，腎臓病学の分野での進歩する知見を取り入れている。また，感染症，薬剤誘発性腎症，尿細管輸送機能欠損症，代謝性疾患や腫瘍関連疾患に関連する病変群，また，新しいウイルス性疾患やミトコンドリア病，中国産薬草湯に関する腎症など，最近になって認知された疾患も定義され説明されている。
　本書は世界中の多方面の学者にそれぞれの専門分野から執筆され，本書が腎臓病理学者や腎臓学者だけでなく，一般内科医や小児科医さらに医学生や内科・病理学のレジデントにとっても役立つものと期待している。

はじめに　城　謙輔

第I部
序文と分類　　重松秀一・村上仁彦
表1尿細管問質疾患と血管疾患の分類
表2　基本的な腎血管病変
表3　用語の定義とその説明
略語一覧

第II部
第1章　正常尿細管と間質　北村博司・杉崎祐一
第2章　正常腎血管系　田口　尚
第3章　尿細管間質疾患と血管炎の発症機序　上杉憲子

第III部
第4章　急性感染性尿細管間質性腎炎（急性腎盂腎炎）　上田善彦
第5章　慢性感染性尿細管間質性腎炎（慢性腎盂腎炎：閉塞性ならびに非閉塞性）と逆流性腎症　原　重雄・相田久美
第6章　特殊型腎感染症　倉持　茂・緒方謙太郎
第7草　薬剤性尿細管間質性腎炎　金綱友木子
第8章　鎮痛薬性腎症と乳頭壊死　久野　敏
第9章　急性血管運動性障害／中毒性尿細管壊死　深澤雄一郎
第10章　重金属による尿細管間質性腎症　尾矢剛志
第11章　非定型的な尿細管間質疾患　清水　章
第12章　サルコイドーシスと原因不明の尿細管間質性疾患　仙波祐子
第13章　遺伝性および原発性尿細管間質性腎障害　長濱清隆
第14章　尿細管の輸送障害：Fanconi症候群，腎性シスチン症，ミトコンドリア病　内藤一郎
第15章　腎嚢胞性疾患（奇形症候群を除く）　長田道夫

第IV部
第16章　免疫異常に関連した尿細管間質病変と血管病変　本田一穂
第17章　代謝性疾患に関連した尿細管間質病変と血管病変　大谷方子・清水　亨
第18章　腫瘍性疾患に関連した尿細管間質病変と血管病変　楠美嘉晃・根本則道
第19章　移植腎拒絶反応にみる尿細管間質病変と血管病変　山口　裕
第20章　放射線腎症の尿細管間質病変と血管病変　江原孝史
第21章　慢性糸球体疾患と血管疾患における尿細管間質病変　小池淳樹

第V部
第22章　高血圧性腎疾患　岡　一雅
第23章　血栓症，塞栓症，梗塞　佐藤英幸
第24章　抗リン脂質抗体症候群　秋草文四郎
第25章　腎動脈狭窄　滝本寿郎
第26章　増殖性動脈障害，血栓性血管障害　成瀬桂史
第27章　腎血管炎　佐藤英俊・小川弥生
第28章　そのほかの病態　浜口欣一