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腎移植の進歩

腎移植の進歩

わが国の現状と今後の展望

編集 日本腎臓学会渉外企画委員会/腎移植委員会

判型 B5  
頁数 288
発行 2006年06月

ISBN 978-4-88563-163-4

定価:4,950円(税込)在庫無
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 わが国の末期腎不全患者は,年々増加しており,透析治療(血液透析・腹膜透析)と移植医療が車の両輪に例えられている。しかし,透析治療には,長期治療合併症の存在など,患者の QOL において大きな壁があり,腎移植治療こそ根本治療法であることはいうまでもない。
 日本腎臓学会では,腎移植医療に積極的取り組み,腎疾患診療に携わる方に最新の情報を伝え腎移植を推進することを目指し企画した。
 本書は,腎移植医療をめぐる up to date の内容であり,わが国の腎移植医療の発展に活用されると確信するものである。

目次

腎不全治療総合対策における腎移植の位置づけ 浅野 泰

■最新の腎移植統計
腎移植:わが国と世界の趨勢を比較して 齋藤和英・高橋公太
I.腎移植の歴史
II.腎移植の現況と成績
III.ABO血液不適合腎移植
IV.腎移植と医療経済上の問題
V.腎臓専門医の役割
VI.献腎の推進における問題点とドナー・アクション・プログラムの導入
VII.腎移植におけるチーム医療
欧米と日本の末期腎不全治療の対比 石川 勲
I.世界の慢性腎不全患者数
II.米国における透析患者のデータ
III.米国の移植データ
IV.欧州の末期腎不全治療
V.日本の末期腎不全治療
VI.日本の腎移植数
VII.欧米との対比でわかった日本の腎不全治療の特徴
VIII.今後の方向性

■腎移植の現状
移植外科医から腎臓内科医に期待するもの 大島伸一
I.腎移植医療に内科医として積極的に関わって欲しい
II.透析患者に正確な情報を流していただきたい
III.腎移植の成績が向上し,適応も拡がり,提供者の手術法が変わったことを伝えていただきたい
IV,死後の腎臓提供推進について協力していただきたい
腎臓内科医からみた腎移植の課題と腎移植への期待 両角國男・武田朝美
I.腎臓内科医からみた腎移植の課題
総合的腎不全治療のあり方一医療の根本は奉仕であることを忘れてはならない 飯野靖彦
I.総合的腎不全治療とは一合併症をなくし,QOLを向上させ,より良い人生を構築するために
II.総合的腎不全治療の目的
III.腎障害の予防
IV.蛋白尿・血尿の発見(検尿の勧め)
V.慢性腎臓病:CKD(保存期慢性腎不全)の治療(腎機能悪性化の抑制)
VI.末期慢性腎不全の治療(QOLと合併症)
VII.腎不全治療における専門医連携の必要性
VIII.総合的腎不全治療における腎移植の意義
IX.総合的腎不全治療のアルゴリズム
末期腎不全治療のオプション提示一掛こ腎移植の説明に関して 柴垣有吾
I.末期腎不全の治療法の比較
II.腎移植は必ずしもバラ色の治療ではない
III.腎移植を受けるまでの流れ
IV.腎移植の適応
V.腎移植レシピエントの適応となる前提条件
VI.生体腎移植術の実際とドナーへの影響
VII.生体腎移植ドナーの適応となる前提条件
腎移植患者の医療費 西 憤一
I.腎移植レシピエントの医療費
II. 腎移植ドナーの医療費

■腎移植の進歩
腎移植手技 相川 厚
I.術前の術者としての注意
II.術前検査・処置
III.手術手技
IV.術後管理
体腔鏡下ドナー腎摘出術 三宅 修・吉村一宏・高原史郎
I.方法
II.術式
III.自験例における結果と考察
移植免疫の基礎 柴垣有吾
I.移植免疫システムのオーバービュー
II.異種抗原の提示とその認識
III.T細胞およびB細胞の活性化と増殖・分化
IV.T細胞の末梢(移植腎)への移行とエフェクター効果としての拒絶反応ABO血液型不適合腎移植 田邉一成
I.血液型抗原
II.血液型不適合腎移植の歴史
III. A2不適合腎移植
IV.非A2不適合腎移植
V.血液型不適合腎移植と移植腎病理
VI.血液型抗体価と移植成績
腎移植における液性拒絶反応 寺岡 慧・甲斐耕太郎
I.腎移植における拒絶反応の分類と機序
II.液性拒絶反応の発生機序
III.抗ドナーHLA抗体
IV.抗ドナーHLA抗体の臨床的意義と移植成績
尿病性腎症に対する膵腎同時移植 杉谷 篤・北田秀久・大田守仁・吉田淳一・土井 篤・平方秀樹・岩瀬正典・田中雅夫
I.糖尿病性腎症とは
II.糖尿病性腎症に対する腎移植の現状
III.糖尿病性腎症に対する膵移植の現状
IV.2型糖尿病性腎症に対する腎移植も透析療法より好ましいのであろうか
V.1型糖尿病性腎症に対する腎移植は容認できるであろうか
VI.2型糖尿病性腎症に対しても膵移植,膵腎同時移植はメリットが多いのだろうか
VII.膵腎同時移植の手術手最
VIII.膵腎同時移植の成績
IX.糖尿病性合併症の改善
腎移植とウイルス感染 武田朝美・両角國男・打田和治
I.腎移植におけるウイルス感染症
II.ウイルス腎症
III.ポリオーマ腎症
慢性拒絶反応と慢性移植腎機能障害 杉山 敏
I.移植腎長期生着率と廃絶原因
II.慢性移植腎症の定義と組織所見
III.慢性移植腎症の原因
腎移植と生活習慣病
生活習慣病「高血圧」 守山敏樹
I.高血圧
II.蛋白尿
III.降圧目標
IV.降庄治療の実際
生活習慣病「高脂血症」 守山敏樹
I.高脂血症の頻度と特徴
II.高脂血症の原因
III.高脂血症の治療
IV.生活習慣改善(食事療法・運動療法・嗜好品)
V.免疫抑制剤の変更,減量
腎移植後発症の糖尿病(PTDM) 山田研一
I.移植後発症の糖尿病の疫学
II.PTDM発症のリスク因子
III.PTDMの定義
IV.移植患者の糖代謝の管理と糖尿病治療・管理
腎移植と移植臓器の動脈硬化 山田研一
I.慢性拒絶反応と動脈硬化
II.Chronic vascular rejectionの免疫学的機序
III.Chronic vascular rejectionの非免疫学的機序の関与
腎移植と生活習慣病 西 慎一・下条文武・齋藤和英・高橋公太
I.移植後の食事指導からみて
II.移植後の日常生活指導からみて
腎移植と糸球体腎炎 酒井 謙・水入苑生・長谷川昭
I.巣状糸球体硬化症
II.IgA腎症 
III.全身性エリテマトーデス
IV.AIport症候群
V.糖尿病性腎症
腎移植と小児慢性腎不全診療 服部元史
I.小児慢性腎不全診療の歩み 
II.小児慢性腎不全診療における現在の治療目標
III.小児慢性腎不全診療における腎移植の意義
IV.小児腎移植・小児慢性腎不全診療の現在の課題
V.小児慢性腎不全患者に対する診療の要点
免疫抑制薬剤の使用法一腎移植免疫抑制療法におけるTDM 打田和治
I.シクロスポリン 
II.タクロリムス
III.ミコフェノール酸モフェチル腎
移植と悪性腫瘍 杉谷 篤
I.発生頻度と種類
II.免疫抑制剤による差異
III.ウイルス感染との関係
IV.発癌機序と発癌年齢
V.診断・治療・予後
移植腎病理診断の推移と最新の話題 山口 裕
I.抗体関連拒絶反応
II.腎炎の再発
III.長期生着移植腎

■腎移植,今後の展望
異種移植の現状と展望 小林孝彰
I.異種臓器移植臨床例(過去の歴史から) 
II.拒絶反応のメカニズム解明
III.hDAFトランスジェニックブタの作出(第一のブレークスルー)
IV.α1,3ガラクトース転移酵素遺伝子ノックアウトブタの作出(第二のブレークスルー)
V.異種臓器移植の必要性と有用性
VI.課題(免疫反応,生理学的不適合,感染症,倫理・規制)
VII.将来の展望
腎移植と遺伝子治療 猪阪善隆・今井圓裕
I.慢性移植腎症の原因
II.慢性移植腎症に対するHGF遺伝子治療
III.薬剤性腎障害に対する遺伝子治療
IV.急性拒絶反応に対する遺伝子治療
V.免疫寛容導入を目指した遺伝子治療
移植腎長期生着成績向上に向けて 両角國男・武田朝美・打田和治
I.移植腎機能障害機序
II.抗体関連型拒絶反応とその対策
III.慢性移植腎機能障害(=広義の慢性拒絶反応)と,その克服への対策
IV.免疫学的慢性拒絶反応の危険因子とその対策
V.非免疫学的機序による広義の慢性拒絶反応の病態と対策
日本臓器移植ネットワークの現況と腎移植 浅野 泰・芦刈淳太郎
I.日本臓器移植ネットワークの発足以前の状況
II.日本腎臓移植ネットワークの発足
III.日本臓器移植ネットワークの発足と改組
IV.世界の移植状況
V.日本の現状と今後の課題