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さらばシャントラ 増補版

さらばシャントラ 増補版

著者 太田和夫(太田医学研究所所長・東京女子医科大学名誉教授)

判型 B5  
頁数 194
発行 2003年03月

ISBN 4-88563-141-6

定価:3,630円(税込)在庫無
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 本書は,「さらばシャントラ」と軽いのりで送り出した初版のシャントトラブル対策ノウハウ集が好評をいただき,さらにブラッドアクセスの外来における簡単な検査法,および,べし/べからず集や,こんな時どうするといった応用をはじめアクセス手術の要点を,また最近,長期透析患者に多発するようになった手根管症候群についても開放術の要点と再発防止の工夫についても,さらには,ブラッドアクセスを長期に維持するためには「うまく作って上手に使う」という医師とコメディカルスタッフの協調が何より大切であると主張してきた観点から,今回はナースや臨床工学技士を対象としたアクセスの使い方についても追加し増補版を出すこととなった。
 この増補版が,その医師をはじめコメディカルスタッフ必携の書となるものと確信する。

目次

1.上肢の動・静脈の解剖と生理
1−1.上肢の動・静脈の特徴
1−2.シャント作製と循環の許容範囲
1−3.血管の生理・病理
1−4.血管の走行

2.皮膚切開と神経に対する気配り
2−1.皮膚切開の注意
2−1−1.皮膚切開のおき方
2−1−2.関節部に手術創をおく場合の注意
2−1−3.静脈を広範囲に剥離する場合の注意
2−2.神経に気を配る
2−2−1.麻酔をかけるときの注意
2−2−2.術中の神経に対する配慮
2−2−3.皮膚縫合時の注意

3.ブラッドアクセスの簡単な診察法
3−1.検査の方法
3−2.適応となる症状
3−3.症例の検討と問題点

4.初回手術に失敗しないように
4−1.なぜ失敗するのか
4−2.問題はどこにあるのか
4−2−1.術前のチェック
4−2−2.吻合前のチェック
4−2−3.吻合時のチェック
4−2−4.遮断解剖除後のチェック

5.攣縮への対応策こそ必勝の秘訣
5−1.血管攣縮の特色
5−2.攣縮に対する対応
5−2−1.一般的な方法
5−2−2.フラッシュ法

6.早期閉塞にどう対応するか
6−1.術後早期閉塞の原因
6−2.術後1週間以内に発生した閉塞をどうするか
6−3.閉塞した部位の触診
6−4.再手術の術式
6−4−1.前回の吻合部をそのまま生かす術式
6−4−2.近辺で同一動・静脈を用い再建する方法
6−5.血栓の病態生理とその除去法

7.タバチエ−ルの内シャント
7−1.タバチエ−ル内シャント適応と問題点

8.小児のブラッドアクセス
8−1.小児におけるブラッドアクセス
8−1−1.小児内シャントの−般的な問題
8−1−2.小児内シャントの特異的な問題
8−1−3.症例の紹介

9.使用中の内シャント閉塞一予防法と再建の考え方
9−1.閉塞の原因を追及する
9−1−1.凝固能の亢進
9−1−2,血流動態の異常
9−1−3.血管の器質的な変化
9−2.再建時の問題
9−2−1.日常的な注意と処置
9−2−2.再建時の基本的な考え方

10.前腕内シャント同一部位での再建
10−1.閉塞に至るまでの経過と現状を仔細に調べる
10−2.血栓除去だけで再開通させる
10−3.吻合部やその近辺に狭窄がある場合
10−4.吻合部の一次的閉塞と二次的閉塞

11.前腕部内シャント再建の工夫
11−1.前腕の静脈
11−2.残されている血管の利用

12.前腕中央部位における内シャントの再建法
12−1.橈骨動脈,横側皮静脈の走行
12−2.前腕の中枢側を活用しよう
12−2−1.前腕中枢側における橈常動脈の露出法
12−2−2.回内,回外運動に注意

13.尺側内シャントと尺側皮静脈のループ吻合
13−1.尺骨動脈と尺側皮静脈の走行とその特徴
13−2.尺側内シャント作製術
13−2−1.作製位置の決定
13−2−2.手術の要点
13−3.尺側内シャントの問題
13−4.尺側内シャントの工夫

14.前腕肘窩の内シャント
14−1.肘窩の解剖とその特色
14−2.シャントを作る場合の操作
14−3.肘窩の深部静脈交通枝をめぐる問題

15.上腕に作る内シャント
15−1.上腕動・静脈の特徴
15−2.可能性のある部位とその方法
15−2−1.上腕動脈と橈側皮静脈吻合
15−2−2.上腕動脈と尺側皮静脈のループ吻合
15−2−3.上腕動脈と上腕静脈の吻合
15−3.上腕内シャントの問題点

16.大腿動脈の表在化
16−1.大腿動・静脈の解剖
16−2.大腿動脈表在化の適応
16−3.手術のポイント(1)
16−4.手術のポイント(2)
16−4−1.大伏在静脈を用いる場合
16−5.大腿動脈表在化の問題点

17.上腕動脈の表在化
17−1.上腕動脈の走行と表在化の必要性
17−2.上腕動脈表在化手術
17−3.使いやすくするためのポイント
17−4.使用法とその工夫
17−5.合併症の予防とその対策

18.人工血管の種類と取扱上の注意
18−1.現用グラフトの特色と問題点
18−1−1.E−PTFEグラフト
18−1−2.ポリウレタングラフト
18−1−3.両グラフトの比較
18−1−4.グラフトの取扱い
18−1−5.使用するグラフトの太さ

19.人工血管の適応と移植法
19−1.動・静脈の最終チェック
19−2.グラフト移植の形式
19−3.吻合部位の決定
19−4.グラフト吻合部の準備
19−5.部位の選択
19−6.グラフト縫合の手順と工夫
19−7.血流再開時の注意
19−8.皮膚縫合時の注意

20.内シャントの工夫
20−1.ダブルアウトレット法
20−2.症例と作製の方法
20−2−1.静脈末梢側利用法
20−2−2.複数静脈同一部位吻合法
20−3.複数静脈吻合法の適応と考え方
20−4.外シャントを内シャントに変更する方法

21.静脈狭窄部の修復
21−1.狭窄部位の切除再吻合
21−2.パッチ縫合の適応と手術時の注意
21−2−1.適応
21−2−2.手術の実際
21−2−3.後療法
21−3.グラフトによる置換
21−3−1.手術の実際
21−3−2.後療法21−4.パッチかブリッジか

22.静脈高血圧症の治療一前腕を中心に
22−1.術式の検討
  22−1−1.流入血液の減量法
  22−1−2∴流出静脈路の再建

23.静脈高血圧症の治療一上腕を中心に
23−1.発現の機序
23−2.臨床症状
23−3.原 因
23−4.好発部位と血管撮影所見
23−4−1.好発部位
23−4−2.静脈撮影とその読み方
23−4−3.カテーテルの関与
23−5.治療法と問題点
23−5−1.観血的な方法
23−5−2.インターベンション法

24.スチール症候群
24−1.発症しやすい患者
24−2.保存療法と手術の適応
24−2−1.血流を減少させる手術
24−2−2.吻合部を外し,他にアクセスを作る方法

25.内シャントの血栓除去法
25−1.血栓ができるとき
25−2.透析患者のシャント地図
25−3.閉塞した血管が再利用できる
25−4.血栓の範囲は
25−5.Declottingの方法
25−6.原因は複数ある

26.グラフトの血栓除去法
26−1.グラフトの種類
26−1−1.グラフトの素材と移植時の問題
26−1−2.体内での変化
26−2.グラフト移植後の経過
26−3.再建の手技と問題点
26−3−1.閉塞前に情報がある場合
26−3−2.閉塞前の情報がない場合
26−3−3.動脈側の閉塞

27.ブラッドアクセス感染症一列科的対応
27−1.ブラッドアクセスは感染に弱い
27−2.ブラッドアクセス感染の種類
27−3.感染症の対応

28.グラフト感染症とグラフト露出
28−1.グラフトに感染がおこりやすい理由
28−2.グラフト感染症への対応
28−3.血流の再建
28−4.グラフト露出の対策

29.ブラッドアクセスと動脈癌
29−1.動脈癌摘除の適応
29−2.手術術式
29−2−1.表在化動脈癌
29−2−2.吻合部動脈癌
29−3.血管再建の基本的な考え方
29−3−1.再建術式の検討
29−3−2.吻合は端々か端側か
29−4.端々吻合の術式

30.グラフト動脈癌とその対策
30−1.グラフト動脈癌の種類と特徴
30−1−1.真性動脈癌
30−1−2.仮性動脈癌
30−2.動脈癌の診断と他の腫癌との鑑別
30−3.グラフト真性動脈癌の摘出と再建
30−4.グラフト仮性動脈癌とその処置
30−5.静脈の動脈癌様拡張

31.血清腫(セローマ)
31−1.E−PTFEグラフトの特徴と取扱上の注意
31−2.好発部位と回避する方法
31−3.診 断
31−4.摘出術をめぐる問題
31−5.セローマの合併症と対策

32.血腫と外傷性動静脈療
32−1.血腫の種類と問題点
32−2.皮下血腫とその対応
32−3.筋膜下血腫と発生の要因
32−4.シャントされた動脈の変化
32−5.筋膜下血腫の特徴
32−6.手術適応とその実際
32−7.動脈の誤穿刺を回避するには
32−8.穿刺に由来する動静脈療

33.血流過多症例への対策
33−1,内シャント吻合口の大きさ
33−2.シャント血流低減手術
33−2−1. 適応
33−2−2.手術の術式
33−3.長期成績と問題点

34.グラフト静脈側の狭窄,閉塞と再建

35.下肢のシャントは是か非か
35−1.下腿の内シャント
35−2.上腿のグラフト吻合部は
35−3.下腿のグラフト移植

36.シャント手術の「べし/べからず」
36−1.手術用器具の選択に心すべし
36−2.皮膚の消毒法から考えるべし
36−3.最良の皮膚切開をデザインすべし
36−4.血管探索時には腕位置を国定すべし
36−5.神経に注意すべし
36−6.細い静脈をどうするか
36−7.石灰化動脈はどうする
36−8.吻合口は縦切開か,壁切除か
36−9.短い静脈を無理して吻合すべからず
36−10.みだりに静脈内へカテーテルを入れるべからず
36−11.血管攣縮こそ閉塞の元凶
36−12.内膜の損傷と血流の停滞は血栓のもと
36−13.原因は複数ある

37.こんな時どうする
37−1.術後まもなく詰まった内シャントへの対処
37−1−1.血栓を静脈側に飛ばす
37−1−2.同一部位での再建
37−1−3.別な部位での再建
37−1−4.反対側の血管を用いる場合
37−2.吻口部に静脈弁があるとき
37−3.吻合部からの出血が止らないとき
37−4.端々吻合はグロスファクターを考慮して
37−5.血管鉗子が足りなくなったとき
37−6.静脈にカテーテルが入っている場合

38.手根管症候群一診断,手術の要点
38−1.両者の鑑別における主要なポイント
38−2.手根菅開放術の実際
 
39,内シャントはこう使う
39−1.上肢の静脈について熟知する
39−2.穿刺部位はどうするか
39−3.穿刺開始の時期
39−4.日常的な穿刺の工夫
39−5.穿刺は動脈が先か静脈が先か
39−6.血液を漏らさない工夫
39−7.失敗した時の処置

40.透析中のシャントケアと終了時の処置
40−1.透析中の血流異常
40−2,抜針時の処置

41.シャントを巡る合併症の対策
41−1.感染症
41−1−1.穿刺に伴う感染症
41−1−2.穿刺部の感染症を避けるには
41−1−3.抜針時の注意
41−1−4.入浴に関する注意
41−1−5.感染症例では透析をどうするか
41−2.透析と血管痛
41−1−1,血管痛とは
41−1−2.シャント肢にみられる血管痛
41−1−3.血管痛への対策

42.グラフトを用いた内シャントの使い方
42−1.穿刺開始の時期
42−2.移植の形式と穿刺の工夫
42−3.止血時の注意
42−4.グラフト内血流混合の回避

43.表在化動脈も上手に使えば
43−1.表在化動脈には2つの適応がある
43−2.表在化動脈の穿刺法
43−3.動脈癌の形成を予防するには